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一級土木施工管理技士ガイド|仕事内容や取得するメリット、学習方法とは

一級土木施工管理技士ガイド|仕事内容や取得するメリット、学習方法とは
私たちの快適な生活を支える道路やトンネル、ダムなどの社会インフラ整備。その現場の指揮を執るのが一級土木施工管理技士です。この資格は建設業界で高く評価され、大規模工事の監督として活躍できる国家資格として知られています。

本記事では、一級土木施工管理技士の仕事内容から資格取得のメリット、効果的な学習方法まで徹底解説します。


一級土木施工管理技士とは
一級土木施工管理技士とは

建設現場において欠かせない専門家として、土木工事全般の施工を管理するのが土木施工管理技士です。国土交通省が所管する国家資格であり、特に一級土木施工管理技士は最上位資格として建設業界で高く評価されています。道路やトンネル、ダム、上下水道など幅広い土木工事の現場において、品質管理や安全管理、工程管理などを担当する重要な役割を果たしています。

定義

一級土木施工管理技士とは、土木工事が計画通りに進むように現場の施工管理に指示を出し監督する国家資格です。土木工事の範囲は非常に広く、ダムや上下水道などの水に関わる工事、道路やトンネルといった交通インフラに関わる工事、災害復旧・復興工事などを含みます。品質管理や安全管理だけでなく、周辺住民への説明や天候による工事中断も考慮したマネジメントなど、現場業務に留まらない広範な責任を持ちます。


土木工事に関する一通りの業務を担当する、プロジェクト全体の統括者といえるでしょう。

級による違い

一級土木施工管理技士と二級土木施工管理技士の最大の違いは、施工管理の範囲と対応できる工事規模です。


一級は土木工事に関する全ての分野で監理技術者と主任技術者として施工管理できるのに対し、二級は「土木」「鋼構造物塗装」「薬液注入」の3分野に分かれ、取得した分野内でのみ主任技術者として施工管理できます。つまり、一級保持者はより大規模な工事に携わることが可能です。


二級では請負代金が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の工事に対応できませんが、一級では金額制限なく大規模工事の監督を務められます。このため、一級土木施工管理技士は二級よりも難易度が高く、より確実な対策が必要です。

建築施工管理技士との違い

土木施工管理技士と建築施工管理技士は、どちらも施工管理に関わる資格ですが、扱う分野が大きく異なります。土木施工管理技士は土地区画整理工事、災害復旧工事、道路・橋梁・トンネル工事、河川・上下水道・ダム・海岸工事などを担当します。これに加え、周辺用地の確保や住民への工事説明なども行います。


一方、建築施工管理技士はビルやマンションの新築工事、事務所やスポーツスタジアムの新築工事などを担当します。つまり、同じ建設工事でも土木施工管理技士はインフラや地形を変える工事を、建築施工管理技士は建物を建てる工事を主に担当するという違いがあります。

一級土木施工管理技士資格が活かせる仕事
一級土木施工管理技士資格が活かせる仕事

一級土木施工管理技士の資格は、建設業界において高い需要があります。特に社会インフラ整備に関わる現場では、必須の資格として重宝されています。大規模土木工事の監督者として活躍できるだけでなく、その専門知識を活かして様々な職場で重要なポジションを担えます。

ゼネコン

一級土木施工管理技士の転職先として最も一般的なのが総合工事業や総合建設業に該当するゼネコンです。企業規模によって年収は変動しますが、一級土木施工管理技士の資格があれば大手ゼネコンへの転職可能性も高まります。大手企業への転職によって収入や労働環境が改善される可能性があります。また、大規模工事の現場監督を務められる一級土木施工管理技士は、建設業界において非常に重宝される人材です。

ゼネコンでは事業規模に関わらず需要が高く、より高待遇の求人を出している企業への転職も一般的になっています。資格保有はそうした転職において強力なアピールポイントとなり、報酬交渉でも有利に働くでしょう。

監理技術者

一級土木施工管理技士の資格を取得することで、監理技術者になれるというメリットがあります。一級土木施工管理技士は5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上の大規模な現場の指揮を執ることが可能です。

建設業法では、土木工事の現場には必ず主任技術者や監理技術者を置かなくてはいけないと定められています。特に特定の建設業者が5,000万円、建築一式工事の場合は8,000万円以上を元請として下請けに出す場合は、主任技術者ではなく1級土木施工管理技士を保持している監理技術者が必要です。

このように法的にも必要とされる立場であり、工事の品質や安全を確保するうえで重要な役割を担います。


一級土木施工管理技士資格の取得が難しい理由
一級土木施工管理技士資格の取得が難しい理由

一級土木施工管理技士の資格取得には多くの壁が存在します。

まず、試験の難易度が高く、幅広い専門知識が求められます。第一次検定(マークシート式)と第二次検定(記述式)の両方に合格する必要があり、特に記述式の二次試験は合格率が30%前後と低く、大きな関門となっています。また、これまでは受験資格として実務経験が必須でしたが、2024年度から受験資格が緩和され、19歳以上であれば一次試験は誰でも受験可能になりました。しかし、二次試験には依然として実務経験が必要です。

試験内容も広範囲にわたり、土木工学全般の知識から施工管理法、建設機械、法規までバランス良く学習する必要があります。一級土木施工管理技士の試験は一次と二次に分かれており、一次試験の合格率は50〜60%程度、二次試験では30%前後と難易度が高いです。単純計算すると10人のうち1人か2人しか合格できない計算になります。


一級土木施工管理技士資格を取るメリット
一級土木施工管理技士資格を取るメリット

土木業界において、一級土木施工管理技士の資格取得は多くのメリットをもたらします。合格の難易度が高いことから、その専門性と技術力が高く評価され、建設現場でのステータスも高まります。また、資格を持つことは技術者としての信頼性を証明することになり、キャリア形成において大きな強みとなります。

キャリアアップや年収アップにつながる

一級土木施工管理技士の資格を取ると、年収が上がるメリットもあります。


この資格は合格難易度の高い国家資格であり、保有することで高度な専門知識と技能の証明となります。そのため資格に見合った報酬が期待でき、企業での勤務であれば給与アップや役職への昇進、あるいは資格保有手当てなどが支給されることも珍しくありません。


具体的な年収は企業規模によって異なりますが、おおむね550万円ほどとされています。中には1,000万円ほどの年収を得る人材もおり、就業のタイミングや勤務場所、役職によってはより高待遇を期待できるでしょう。


また、転職に加え、昇給や昇進しやすいというのも土木施工管理技士の資格を保有するメリットです。国から企業へ技術評価点という資格保有による評価点が与えられており、一級土木施工管理技士の場合は5点、二級土木施工管理技士の場合は2点です。

大規模な工事やプロジェクトに関われる

一級土木施工管理技士の資格を保有していると、大規模工事の現場監督を務められます。二級では請負代金が4,500万円以上、建築一式工事だと7,000万円以上になると対応できませんが、一級であればこのような請負金額の制限がなくなり、大規模な工事に対応できるようになります。トンネル掘削を伴う道路の敷設といった工事など、公共事業として実施されるものも多く、動かす資材や人員の数、かかる費用も莫大な工事の監督を務められます。


専門職としてのステータスも高く、成功すれば輝かしい経歴となります。何より多くの人々が工事の恩恵を受けることから、社会貢献度も高く、やりがいのある仕事といえるでしょう。

転職で活用できる

一級土木施工管理技士の資格を保有することで転職に有利に働くメリットがあります。


大規模工事の現場監督を務められる一級土木施工管理技士は貴重な人材であり、事業規模を問わず建設業界ではニーズが高いです。そのため、より高待遇な求人を出している企業に転職する選択肢も一般的になっています。転職先としては、ゼネコン以外にも、海外事業を展開する企業や国・自治体といった選択肢があります。海外事業を展開する企業へ転職した場合、海外赴任の可能性もあり、国内の現場と比べて収入が上がる可能性もあります。


国や自治体への転職では、土木職という技術に関する専門職があり、インフラの整備や管理、都市計画に携わることもできます。市民により関わる業務を行え、安定して長期的に働きたい人におすすめです。

一級土木施工管理技士資格試験の概要
一級土木施工管理技士資格試験の概要

一級土木施工管理技士の資格試験は、第一次検定と第二次検定の二段階で構成されています。第一次検定はマークシート形式で土木工学全般の知識を問われ、第二次検定は記述式で実務的な知識と応用力が試されます。試験内容は広範囲にわたり、土木施工の専門知識から法規まで幅広い分野からの出題があります。年間のスケジュールとしては、例年7月頃に第一次検定、10月頃に第二次検定が実施され、申込期間は試験の約3ヶ月前からとなっています。

受験資格

一級土木施工管理技士の受験資格については、2024年度とそれ以降では大きく異なります。


改定前の受験資格では、一次試験の段階で所定の実務経験を伴うことが条件であったため、学生などは受験そのものが不可能でした。改定後は、一次試験は満19歳以上であれば誰でも受けられます。これにより、在学中に一次試験を突破して「技師補」の資格を得て、卒業後に必要な実務経験を積んだ上で二次試験にチャレンジするというキャリア設計も可能となりました。二次試験については、一次試験の合格後に所定の実務経験をすることが必須の受験資格となります。受検資格の無かった学生の方や建設業に従事しているけれども学歴で受検できなかった方なども、いきなり1級の1次検定受検が可能となります。

合格率・難易度

1級土木施工管理技士は、「第一次検定」と「第二次検定」の両方に合格することで取得できる資格です。平成30年~令和4年における「第一次検定」の平均合格率は57.26%で、毎年約30,000〜40,000人が受験しています。令和3年度から試験制度が変更され、「学科試験」が「第一次検定」と名称変更され、出題内容も一部変更されました。一方、「第二次検定」は毎年約25,000〜30,000人が受験し、平均合格率は35.28%です。こちらも令和3年度から「実地試験」から「第二次検定」に名称変更され、出題内容にも変更がありました。

試験は一次と二次に分かれており、単純計算すると10人のうち1人か2人しか合格できないことになり、このような難易度の高さからも一級土木施工管理技士の有資格者は高く評価されます。

試験の難易度が高い理由として、一級土木施工管理技士の試験では幅広い専門知識と技術力が求められます。学科の一次試験では土木工学全般の知識が問われ、施工管理法・建設機械・土木施工・法規・安全管理の分野から満遍なく出題されます。また、知識だけでなく高度な実践能力も求められ、実地の二次試験では現場での課題解決能力を想定したリアルな出題がなされます。

受験方法

1級土木施工管理技士の申し込み方法は、インターネット申込と書面申込の2種類があり、受検する検定区分や新規受検/再受検によって異なります。特に初めて1級土木施工管理技術検定を受験する際は、受験資格等の審査があるため、「書面申込」のみの受付となります。受験手数料は、第一次検定・第二次検定ともに10,500円です。したがって、1級土木施工管理技士の資格を取得するためには、合計21,000円の手数料がかかります。

試験日程については一般的に、第一次検定の申込受付期間は3月中旬〜下旬、試験日は7月上旬、合格発表日は8月上旬頃です。第二次検定の申込受付期間も3月中旬〜下旬、試験日は10月上旬、合格発表日は翌年1月上旬頃です。ただし、試験日程は事情により変更される可能性があります。

最新の情報は、土木施工管理技術検定の運営団体である「一般財団法人 全国建設研修センター」の公式サイトにて確認することをおすすめします。

一級土木施工管理技士資格の学習方法
一級土木施工管理技士資格の学習方法

一級土木施工管理技士の資格取得には、計画的で効率的な学習が不可欠です。試験範囲が広く専門的なため、自分に合った学習方法を見つけることが重要です。独学の場合は質の良い参考書を選び、過去問を繰り返し解くことが基本です。また、通信講座や専門学校の講座を利用すれば、プロの指導を受けながら効率よく学習を進めることも可能です。

過去問をたくさん解く

過去問を繰り返し解くことは、一級土木施工管理技士試験突破の効果的な方法です。


実際に出題された問題で試験傾向を掴み、同様の設問への対応力を高められます。過去問と類似した問題や応用問題も多いため、反復学習で正答率が向上します。問題を解く際は解説もしっかり読み、問題の本質を理解することが大切です。出題形式の変化にも対応できる力が身につきます。また、通勤時などのすきま時間を活用したアプリ学習も効果的です。

テキストを購入する

一級土木施工管理技士の勉強では、テキストは一冊に絞るのがポイントです。


様々な参考書がありますが、内容に大きな差はなく、複数冊に手を出すより一冊を徹底的に使い込む方が効果的です。自分に合ったテキストを選び、完全に習得することを目指しましょう。また学習開始前に試験までのスケジュールを立てることも重要です。最初は一日単位の計画から始め、無理のない範囲で継続できる学習量を設定しましょう。無理な計画は長続きしません。

一次・二次に分けて対策する

一級土木施工管理技士試験は、形式の異なる一次と二次に分けて対策すべきです。


第一次検定はマークシート方式で全体と能力問題それぞれ60%以上の正答が必要です。第二次検定は記述式で60%以上の得点が必要です。一次対策では広範な出題範囲の把握と選択問題での得意分野強化が重要です。二次対策では記述式問題への対応力を高めるため、想定問題の回答例作成や要点整理が効果的です。特に自身の経験に基づく記述が求められるため、過去の工事経験を整理しておくことも大切です。

一級土木施工管理技士資格を取るべき人とは
一級土木施工管理技士資格を取るべき人とは

一級土木施工管理技士の資格は、建設業界でキャリアアップを目指す方に特に価値があります。特に土木工事に携わる技術者として長期的な視点でキャリアを考えている方や、より高度な技術力を証明したい方、責任ある立場で大規模工事に関わりたい方にとって、取得する価値のある資格といえるでしょう。

より仕事の幅を広げたい人

一級土木施工管理技士の資格は、土木工事現場でより幅広い責任と権限を持ちたい人に最適です。この資格があれば金額制限なく大規模工事の監督が可能になり、競技場建設やトンネル工事など大型公共事業にも携われます。また転職の幅も広がり、ゼネコンだけでなく海外事業を展開する企業や公務員としての道も開けます。海外では特色ある工事経験が得られますし、公務員なら都市計画など市民生活に密着した業務も担当できます。資格取得で専門性の高い多様な業務に携わるチャンスが広がります。

収入を増やしたい人

一級土木施工管理技士の資格取得は収入アップの有効な手段です。難易度の高い国家資格として高度な専門知識と技能の証明になるため、それに見合った報酬が期待できます。企業勤務では給与アップや昇進、資格手当の支給も一般的です。また国家資格として評価が高く、転職市場でも有利に働きます。特に昨今は地方での再開発が進み、都心部より地方の企業で高待遇求人が増加傾向にあります。資格は専門性の証明として交渉力も高めます。

建設業での転職を考えている人

一級土木施工管理技士資格は建設業界での転職に大きなアドバンテージをもたらします。建設業界全体で人材不足が続いており、特に大規模工事を担える有資格者の需要は高いです。転職先としては大手ゼネコンのほか、海外事業展開企業や国・自治体など多様な選択肢があります。海外では日本では得られない経験と高収入の可能性があり、公務員ならインフラ整備や都市計画に関わりながら安定した働き方も実現できます。資格保持者への評価は高く、より良い条件での再就職が可能です。

まとめ

一級土木施工管理技士の資格について、その価値と取得するメリットを詳しく解説してきました。土木工事の現場監督として大規模な工事を統括できるこの資格は、建設業界で高く評価され、キャリアアップや年収アップ、転職にも有利に働きます。試験は難易度が高いものの、計画的な学習と適切な対策で合格を目指すことは十分可能です。


建設業界では人材不足が課題となっており、特に一級土木施工管理技士のような大規模工事を統括できる人材は引く手あまたです。十分なニーズがあり将来性も見込める資格のため、土木工事に携わる方は取得を検討する価値があるでしょう。

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