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土木施工管理技士とは?仕事内容ややりがい、給与相場など紹介

土木施工管理技士とは?仕事内容ややりがい、給与相場など紹介

私たちの暮らしを支える道路や橋、上下水道などのインフラ整備で中心的な役割を担うのが土木施工管理技士です。


本記事では、工事現場の指揮監督から安全管理まで幅広い業務を担当し、社会基盤づくりに貢献できる国家資格について詳しく紹介します。資格取得により給与アップや転職での優位性が期待できる土木施工管理技士の魅力をお伝えします。

土木施工管理技士とは
土木施工管理技士とは

土木施工管理技士という職業をご存知でしょうか。道路や橋梁、上下水道などの社会インフラ整備において中心的な役割を担う国家資格者です。

 

建設業界でのキャリアアップを目指す方にとって重要な資格である土木施工管理技士について、その概要から級による違い、類似資格との違いまで詳しく解説します。

概要

土木施工管理技士は、土木工事における施工管理のスペシャリストです。工事現場での安全管理、品質管理、工程管理、原価管理の4大管理業務を担当します。

 

具体的には、現場作業員への指示出し、施工計画の作成、発注者との打ち合わせ、行政への各種申請手続きなどが主な業務です。また、周辺住民への工事説明や環境保全対策も重要な役割となります。現場監督の経験があれば受験可能で、建設業界でのキャリアアップには欠かせない資格といえます。

級による違い

1級と2級の主な違いは、担当できる工事の規模と役職です。

 

1級土木施工管理技士は監理技術者として、5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の大規模工事を担当できます。一方、2級土木施工管理技士は主任技術者として、比較的小規模な工事を担当します。

 

1級の方が対応できる工事の種類も多く、土木一式工事をはじめ8つの業種すべてで監理技術者になることが可能です。当然ながら1級の方が受験難易度も高く、より豊富な実務経験が求められます。給与面でも1級の方が優遇される傾向にあります。

土木施工管理技士補との違い

土木施工管理技士補は、第一次検定のみに合格した人に与えられる新しい称号です。

 

従来の制度では一次と二次の両方に合格しないと資格を取得できませんでしたが、令和3年度から制度が変更されました。技士補は主任技術者の資格を持つことで、監理技術者の補佐として業務に携われます。また、特例監理技術者として複数の現場を兼任することも可能です。

 

技士補の資格があれば経営事項審査でも加点対象となり、企業にとってもメリットがあります。将来的に正式な土木施工管理技士を目指すためのステップとしても位置づけられています。

建築施工管理技士との違い

土木施工管理技士と建築施工管理技士の大きな違いは、担当する工事の分野です。

 

土木施工管理技士は道路、橋梁、ダム、トンネル、上下水道など、主にインフラ関連の工事を担当します。一方、建築施工管理技士はビル、マンション、戸建て住宅、商業施設などの建物の建設工事を担当します。

 

土木は地面の下や自然環境の中での工事が多く、建築は地上の構造物が中心です。使用する材料や工法、関連する法規制も異なります。どちらも施工管理技士という国家資格ですが、専門分野が明確に分かれているため、目指す工事分野に応じて選択する必要があります。

土木施工管理技士の主な仕事内容
土木施工管理技士の主な仕事内容

土木施工管理技士が担当する業務の範囲は非常に幅広く、社会の基盤となるインフラ整備から災害復旧まで多岐にわたります。

 

どのような工事現場でどのような業務を行うのか、具体的な仕事内容について詳しく解説します。

インフラ整備

道路、橋梁、トンネル、ダム、上下水道などの社会インフラ整備が主要な業務です。

 

新設工事では施工計画の立案から始まり、工程管理、品質管理、安全管理まで一貫して担当します。道路工事では交通規制の調整や周辺住民への説明も重要な業務です。橋梁工事では高度な技術と安全性が求められ、構造計算や材料選定にも関わります。

 

上下水道工事では衛生管理や環境保全にも配慮が必要です。維持管理業務では定期点検や補修工事の計画立案も行います。これらのインフラは長期間使用されるため、将来を見据えた品質確保が求められます。

地形改良

宅地造成、河川改修、砂防工事、海岸保全工事など、自然環境と向き合う地形改良工事も重要な分野です。

 

宅地造成では安全な住環境づくりのため、地盤調査や排水計画が欠かせません。河川改修工事では洪水防止や生態系保全を両立させる高度な技術が必要です。砂防工事では土砂災害の防止が目的で、地域住民の安全確保が最優先となります。

 

海岸保全工事では波浪や潮位変動への対策が重要です。環境アセスメントや関係機関との調整も重要な業務で、工事による環境への影響を最小限に抑える配慮が求められます。

土木施工管理技士の平均年収
土木施工管理技士の平均年収

土木施工管理技士の平均年収は、資格の級や実務経験、勤務先によって大きく異なります。

 

2級土木施工管理技士の場合は年収300万円から600万円程度、1級土木施工管理技士では年収400万円から700万円程度が相場です。大手ゼネコンや公共工事を多く手がける企業では、資格手当や昇進による給与アップが期待できます。経験を積むにつれて年収も上昇し、現場所長クラスになると年収800万円以上も可能です。

 

地域による差もあり、都市部の方が給与水準は高い傾向にあります。また、海外勤務の場合は特別手当が支給されることが多く、年収1,000万円を超えるケースもあります。

土木施工管理技士のメリット
土木施工管理技士のメリット

土木施工管理技士の資格取得により得られる恩恵は数多くあります。

 

キャリアアップや転職活動での優位性、企業での評価向上など、さまざまなメリットについて解説します。

専任技術者資格が得られる

土木施工管理技士の資格取得により、建設業許可に必要な専任技術者になることが可能です。建設業を営む企業は軽微な工事を除き、国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要で、営業所ごとに専任技術者を配置しなければなりません。

 

1級土木施工管理技士であれば特定建設業の専任技術者として、2級であれば一般建設業の専任技術者として認められます。専任技術者として認められることで、昇進や給与アップの機会が増え、企業内での地位向上にもつながります。

監理技術者になれる

1級土木施工管理技士の最大のメリットは、監理技術者として認められる点です。

5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)の大規模工事では、監理技術者の配置が法的に義務づけられており、現場の責任者として重要な役割を担います。監理技術者は、工事全体の技術的な管理を行い、品質や安全性の確保に責任を持ちます。

大規模なプロジェクトに携わることで、豊富な実務経験を積むことができ、技術者としてのスキルアップにもつながるでしょう。監理技術者資格者証を取得すれば、さらに専門性が評価され、転職市場でも有利に働きます。

転職で有利にはたらく

建設業界では慢性的な人手不足が続いており、有資格者への需要は非常に高い状況です。土木施工管理技士の資格があることで転職時の選択肢が大幅に広がり、より良い条件での転職が可能になります。特に1級資格者は大手ゼネコンからも引く手あまたで、年収アップを実現できる可能性が高いでしょう。未経験の業種への転職でも、資格があることで採用されやすくなります。

 

また、年齢を重ねても技術と経験を活かせる職種のため、長期的なキャリア形成にも有利です。独立開業を目指す場合にも、資格は信頼性の証明となります。

土木施工管理技士の主な転職先
土木施工管理技士の主な転職先

土木施工管理技士の資格を活かせる職場は建設業界を中心に多岐にわたります。企業規模や事業内容により待遇や業務内容が大きく異なるため、転職先選びは慎重に行いたいものです。

 

どのような転職先があり、それぞれどのような特徴があるのかについて解説します。自分に合った職場選びの参考にしてください。

ゼネコン

大手から中堅まで、ゼネコンは土木施工管理技士にとって最も一般的な転職先の一つです。

大手ゼネコンでは、国家プロジェクトレベルの大規模工事に携わることができ、高度な技術力と豊富な実務経験を積むことが可能です。年収は高水準で、福利厚生も充実しています。

一方、中堅ゼネコンは地域密着型の工事が多く、地域社会への貢献を実感できる点が特徴です。また、専門工事会社では特定分野に特化した高い専門性を身につけることができます。

ゼネコンでの経験は転職市場でも高く評価され、将来的な独立・開業の基盤にもなります。プロジェクトマネジメントスキルも磨かれ、総合的な技術者としての成長が期待できるでしょう。

自治体

公務員として土木職で採用される道もあります。

 

都道府県や市町村の土木部門では、道路整備、河川管理、都市計画などの業務を担当します。民間企業と比較して安定した雇用環境と福利厚生が魅力で、長期的なキャリア形成が可能です。公共工事の発注者側として、工事の監督や検査業務を行うこともあります。

 

災害時の復旧工事では住民の安全確保という重要な使命を担います。技術系公務員として専門性を活かしながら、公共の福祉に貢献できる魅力的な職場です。

海外展開の企業

近年、アジアを中心とした海外での土木工事需要が拡大しており、海外事業を展開する企業への転職も注目されています。海外プロジェクトでは日本の高い技術力が評価され、現地のインフラ整備に貢献できます。海外勤務手当などにより年収1,000万円を超えることも珍しくありません。

 

異文化での経験は人間的な成長にもつながり、国際的な技術者として貴重な経験が積める点がメリットです。言語習得や現地の法規制への対応など、新たなスキルも身につきます。帰国後は海外経験を活かしたより良いポジションでの転職も期待できます。グローバルな視野を持った技術者として、キャリアの幅が大きく広がるきっかけになるでしょう。

土木施工管理技士資格試験概要
土木施工管理技士資格試験概要

土木施工管理技士を目指すなら、まずは資格試験について詳しく知る必要があります。試験制度は近年大幅に見直され、より受験しやすい環境が整いました。

 

試験内容や受験資格、合格率など、受験を検討している方が知っておくべき基本情報について解説します。効率的な受験計画を立てるための参考にしてください。

試験内容

第一次検定は四肢択一式のマークシート方式で、土木工学、施工管理法、法規などから出題されます。

 

1級では101問中70問を選択して解答し、合格基準は約60%の正答率です。第二次検定は記述式で、実務経験に基づく施工管理に関する応用問題が出題されます。1級では11問中7問を選択し、施工経験記述や安全管理、品質管理などの知識が問われます。試験時間は第一次が午前・午後合わせて4時間30分、第二次が2時間45分です。

 

過去の出題傾向を分析し、重点分野を絞った効率的な学習が合格への近道です。実務経験を整理し、具体的なエピソードを記述できるよう準備することが重要です。

受験資格

令和6年度から受験資格が大幅に緩和され、第一次検定は年齢要件のみとなりました。

 

1級は19歳以上、2級は17歳以上であれば誰でも受験可能です。従来必要だった学歴や実務経験の制限がなくなり、より多くの人にチャンスが広がりました。第二次検定は第一次検定合格後に実務経験が必要で、1級では特定実務経験1年を含む3年以上の経験が求められます。特定実務経験とは、5,000万円以上の工事で監理技術者や主任技術者の指導下または自ら責任者として行った経験のことです。

 

経過措置として令和10年度までは旧受験資格との選択が可能で、既存の受験者にも配慮されています。

合格率

土木施工管理技士試験の合格率は、第一次検定が40%から60%程度、第二次検定が30%から40%程度で推移しています。1級の方が2級より難易度が高く、特に第二次検定の合格率は低い傾向にあります。

 

令和6年度の1級では、第一次検定が44.4%、第二次検定が41.2%でした。合格率だけを見ると決して高くはありませんが、適切な準備と継続的な学習により合格は十分可能です。働きながらの受験が多いため、効率的な学習方法の選択が重要になります。

土木施工管理技士資格をとるには
土木施工管理技士資格をとるには

土木施工管理技士の資格取得を目指すなら、自分に最適な学習方法を選択することが重要です。スクール通学、通信講座、独学など、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。

 

働きながら学習する方が多いこの資格において、効果的な勉強方法について解説します。

スクールに通う

専門学校や資格スクールに通学する方法は、講師から直接指導を受けられるメリットがあります。疑問点をその場で解決でき、同じ目標を持つ仲間との情報交換も可能です。模擬試験や添削指導も充実しており、学習の進捗管理もしやすくなります。

 

ただし、仕事をしながら決まった時間に通学するのは困難な場合があり、費用も比較的高額になります。土日や夜間のコースを選択すれば働きながらでも通学可能ですが、体力的な負担は大きくなりがちです。確実に合格したい人や独学に不安がある人には適した方法といえるでしょう。

通信講座を活用する

通信講座は自分のペースで学習を進められる柔軟性が最大の魅力です。仕事や家庭の都合に合わせて学習時間を調整でき、繰り返し学習も可能です。質問サポートや添削指導があるコースも多く、独学より手厚いサポートが受けられます。近年は動画講義やオンライン模試なども充実しており、効率的な学習環境が整っています。

 

ただし、強い意志力と継続力が必要で、モチベーションを維持できるかが課題です。計画的な学習スケジュールを立て、定期的に進捗を確認することが成功のポイントです。

独学する

参考書や過去問題集を使った独学は、最も費用を抑えられる方法です。

 

書店やインターネットで豊富な教材が入手でき、最新の法改正にも対応した教材が多数出版されています。ただし、疑問点の解決や学習計画の立案をすべて自分で行う必要があり、意志力が必要です。

 

実務経験が豊富な人であれば独学でも合格は十分可能ですが、初心者には困難な場合があります。定期的な模擬試験で実力を確認することも重要です。

まとめ

土木施工管理技士は、社会インフラ整備において重要な役割を担う国家資格です。1級と2級の違いや仕事内容、平均年収から転職先まで幅広く解説しました。資格取得により監理技術者や主任技術者として活躍でき、収入アップや転職での優位性も期待できます。建設業界でのキャリアアップを目指す方は、ぜひ本記事を参考に土木施工管理技士への挑戦を検討してみてください。

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