
コラム
BIM導入で使える補助金を徹底解説!活用法や注意点はある?

建設業界のデジタル化において、3次元モデルを活用したBIMの導入は避けて通れない課題となっています。データの一元管理により業務効率化が期待できる一方、導入にはまとまった初期費用が必要です。国や自治体が提供する補助金制度を賢く活用することで、費用負担を大幅に軽減できます。
本記事では2025年最新のBIM関連補助金について、申請方法や注意点を含めて詳しく解説します。
なぜ今BIM導入に補助金が活用できるのか?

国土交通省は建設業界が抱える人手不足や長時間労働、低収益性といった構造的課題の解決策として、BIMの普及を強力に推進しています。2023年度以降、小規模工事や災害復旧工事などを除く多くの公共工事でBIMの原則適用が進められており、設計段階での3次元モデル活用から施工段階での干渉チェック、維持管理での属性情報活用まで、幅広い取り組みが求められるようになりました。
民間工事でも大手建設会社を中心にBIM活用が広がりつつあり、今後は地方自治体や中小企業にも波及することが見込まれています。政府は2040年までに建設業の生産性を1.5倍、省人化を30%実現する目標を掲げており、BIMを中核技術として位置づけています。
業界全体のデジタル化を加速させるため、国は複数の補助金制度を整備しています。初期投資の負担軽減だけでなく、人材育成や環境整備まで幅広く支援する体制が整っています。制度を活用することで、中小企業でも最新のBIM環境を構築できる好機です。
【2025年版】BIM導入で活用できる主要な補助金の種類

2025年現在、BIM導入を検討する企業が活用できる主な補助金制度には、以下のようなものがあります。
- 建築GX・DX推進事業(旧:建築BIM加速化事業)
- IT導入補助金
- 人材開発支援助成金
- 中小企業経営強化税制
それぞれの制度には対象経費や申請要件が異なるため、自社の状況に合わせて選択することが重要です。
建築GX・DX推進事業(旧:建築BIM加速化事業)
建築GX・DX推進事業は、2024年度まで実施されていた建築BIM加速化事業を刷新した制度です。
設計業務で上限額3,500万円、施工業務で上限額5,500万円が支給される枠組みとなっており、2025年度予算として約65億円が計上される見込みです。面積要件や階数要件は設けられていないため、小規模プロジェクトでも申請できます。
補助金の対象となる経費
BIM活用型の補助では、BIMソフトウェア利用費やソフトウェア関連費、クラウド環境の構築費用や利用費が対象です。BIMコーディネーターやBIMマネージャーの人件費、BIM講習の実施費用、BIMモデラーの人件費も補助対象です。
ライフサイクルアセスメント実施型では、BIMモデルを作成せずに実施した場合は650万円まで、BIMモデルを作成した上で実施する場合は500万円までが補助されます。二酸化炭素原単位の策定も行う場合は、策定した原単位につき400万円が加算されます。
申請のポイント
申請にはBIM活用計画書の提出が必要で、IFC形式でのデータ連携を含む導入方針を明記します。申請は例年春頃に開始されるため、年度内に計画を策定しておくことが重要です。2025年度の受付期間は2025年4月1日から12月末までとなっています。国土交通省の公式サイトで最新の要項を確認することをおすすめします。
IT導入補助金
IT導入補助金は経済産業省と中小企業庁が運営する制度で、2017年から継続されています。通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠の5つの申請枠があり、BIM関連のITツールは主に通常枠での申請となります。補助金上限は150万円未満、下限は5万円で、必要経費の最大2分の1まで申請可能です。
補助金の対象となる経費
BIMソフトウェアの導入費用が主な対象です。ソフトウェアのライセンス費用だけでなく、関連する導入支援費用も対象となる場合があります。ただし申請対象となるBIMソフトウェアは限られているため、IT導入補助金2025の公式サイトで該当製品を確認する必要があります。ハードウェアの購入費用は対象外となる点に注意が必要です。
申請のポイント
申請前にgBizIDプライムの取得と、SECURITY ACTIONの宣言実施が必要です。ITツールとIT事業者を選定した上で、事業者と共同で交付申請を行います。2025年9月時点では5次締切分の受付が行われており、申請スケジュールは段階的に設定されているため、早めの準備が求められます。
出典:IT補助金2025
その他の中小企業向け補助金・助成金
建築GX・DX推進事業やIT導入補助金以外にも、BIM導入を支援する制度が複数存在します。人材育成に特化した助成金や、税制優遇措置などを組み合わせることで、総合的な支援を受けられます。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は厚生労働省が運営する制度で、企業における人材育成とスキルアップの促進を目的としています。事業展開等リスキリング支援コースを申請することで、トレーニング費用の75%、1人あたり最大50万円までの助成を受けられます。BIMマネージャーやコーディネーターの育成を行いたい場合に活用可能です。複数名の従業員を育成する場合は総額での助成金額が大きくなります。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」
中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制は中小企業庁が運営する税制優遇制度で、経営力向上計画に基づいて設備を取得・利用すると、即時償却か取得価格の最大10%を税額控除できます。ソフトウェアの場合は取得額が70万円以上の製品が対象となり、BIMソフトウェアの導入にも利用可能です。申請には申請書の作成に加えて、経営力向上計画の作成が必要となります。
出典:中小企業庁「中小企業経営強化税制」
BIM補助金を活用する3つの大きなメリット

補助金を活用したBIM導入には、以下のような大きなメリットがあります。
- 初期投資の大幅な軽減
- 最新のBIM環境を整備できる
- 社内のDX化と人材育成の加速
単なる費用面での恩恵だけでなく、企業全体のデジタル化推進や人材育成の加速といった副次的な効果も期待できます。
初期投資の大幅な軽減
BIM導入には、ソフトウェア本体の購入費用に加え、対応可能なハイスペックなハードウェアも必要です。さらに人材育成のための研修費用も発生するため、総額では数百万円規模の投資となります。補助金を活用することで、経費の2分の1から全額近くまでカバーできる場合があります。建築GX・DX推進事業では最大5,500万円、IT導入補助金では最大150万円の支援が受けられ、費用負担を大幅に軽減できます。
最新のBIM環境を整備できる
補助金を活用することで、予算の制約を気にせず最新のBIMソフトウェアや周辺環境を導入できます。クラウド環境の構築費用も対象となるため、複数の関係者間でのデータ共有基盤も整備可能です。最新版を導入することで、業界標準の機能をフルに活用でき、他社との連携もスムーズになります。初期段階で十分な環境を整えることで、後から追加投資が必要になるリスクを減らせます。
社内のDX化と人材育成の加速
補助金制度の多くは、ソフトウェア導入だけでなく人材育成費用も対象としています。BIMマネージャーやコーディネーターの研修費用を助成してもらえることで、社内の人材育成計画を加速できます。人材開発支援助成金を併用することで、複数名の従業員を育成できます。BIMに精通した人材が社内に増えることで、導入後の運用が安定し、業務効率化の効果が早期に現れます。
BIM補助金の申請に向けたステップ

補助金申請を成功させるには、以下の4つのステップを踏むことが重要です。
- ステップ1:BIM導入の目的と課題を明確にする
- ステップ2:自社に合った補助金制度の選定と情報収集
- ステップ3:申請計画の策定と準備
- ステップ4:IT導入支援事業者やベンダーとの連携
計画的な準備と段階的なアプローチにより、申請の採択率を高められます。
ステップ1:BIM導入の目的と課題を明確にする
補助金申請の前提として、なぜBIMを導入するのか、どのような課題を解決したいのかを明確にする必要があります。業務効率化、コスト削減、品質向上など、具体的な目標を設定することで、申請書類での説明に説得力が生まれます。社内でBIM導入に関する意見を集約し、経営層の承認を得ることも重要です。目的が曖昧なまま申請すると、採択されても導入後の効果測定が困難になります。
ステップ2:自社に合った補助金制度の選定と情報収集
複数の補助金制度の中から、自社の規模や導入計画に最適なものを選定します。建築GX・DX推進事業は大規模プロジェクト向け、IT導入補助金は中小規模向けといった特徴があります。国土交通省や経済産業省の公式サイトで最新情報を確認するとともに、過去の採択事例も参考にすると良いでしょう。地域によっては自治体独自の補助制度が存在する場合もあるため、地元の商工会議所や中小企業支援機関に相談することも有効です。
ステップ3:申請計画の策定と準備
選定した補助金制度の要件に基づき、申請計画を策定します。BIM活用計画書や経営力向上計画など、制度ごとに必要な書類が異なります。申請書類には、導入するBIMソフトウェアの仕様、予算計画、期待される効果などを具体的に記載します。数値目標を盛り込むことで、計画の実現可能性を示せます。gBizIDの取得やSECURITY ACTIONの宣言など、申請前に必要な手続きも忘れずに完了させます。
ステップ4:IT導入支援事業者やベンダーとの連携
補助金申請では、IT導入支援事業者やBIMソフトウェアベンダーとの連携が重要です。IT導入補助金の場合、登録されたIT事業者を通じて申請する必要があります。ベンダーからは製品の詳細仕様や導入後のサポート体制について説明を受け、申請書類に反映させます。経験豊富な支援事業者を選ぶことで、申請書類の作成や採択率向上のアドバイスを受けられます。
申請前に確認したいBIM補助金の注意点

補助金制度には、申請者が把握しておくべき重要な注意点が以下のようにあります。
- 補助金は後払い(精算払い)が原則
- 申請すれば必ず採択されるわけではない
- 申請期間と事業実施期間を守る
- 導入後の実績報告が必須
事前に理解していないと思わぬトラブルにつながるため、スムーズな申請と導入のために確認しておきましょう。
補助金は後払い(精算払い)が原則
多くの補助金制度では、まず自社で費用を全額支払い、後から補助金が交付される仕組みとなっています。事業完了後に実績報告を提出し、審査を経て初めて補助金が振り込まれるため、一時的に全額を自社で立て替える資金力が必要です。補助金の交付まで数か月かかる場合もあるため、金融機関からのつなぎ融資を検討するなど、資金調達の計画を事前に立てておくことが重要です。
申請すれば必ず採択されるわけではない
補助金は申請すれば自動的に交付されるものではなく、審査を経て採択される仕組みです。特に人気の高い補助金では競争率が高く、不採択となる可能性もあります。採択率を高めるには、申請書類を丁寧に作成し、導入目的や期待効果を明確に示すことが重要です。過去の採択事例を参考にしながら、審査基準を意識した内容にします。
申請期間と事業実施期間を守る
補助金制度には明確な申請期間と事業実施期間が設定されています。期限を過ぎた申請は受け付けられず、事業実施期間内に完了しない場合は補助金が交付されません。建築GX・DX推進事業の場合、2025年度は4月から12月末までが受付期間となっています。
事業実施期間についても、契約から納品、検収、支払いまでを期限内に完了させなければならないため、余裕を持った計画を立てることをおすすめします。
導入後の実績報告が必須
補助金交付後は、導入したBIMの活用状況や成果について実績報告を提出する義務があります。報告を怠ると、補助金の返還を求められる場合もあります。実績報告では、BIMの利用実績や業務効率化の具体的な成果を数値で示す必要があります。導入前と導入後での作業時間の変化や、コスト削減額などを記録しておくことが重要です。
BIMの補助金に関するFAQ(よくある質問)

BIM補助金について、実務上よく寄せられる以下の質問について回答します。
個人事業主の設計事務所でもBIM補助金は利用できますか?
個人事業主でも、要件を満たせば多くの補助金制度を利用可能です。IT導入補助金は中小企業と小規模事業者を対象としており、個人事業主も含まれます。建築GX・DX推進事業についても、法人格の有無を問わず申請可能な場合があります。
ただし制度によって対象となる事業者の定義が異なるため、申請前に公式サイトや募集要項で確認する必要があります。
BIMの導入にはデメリットはないのでしょうか?
BIM導入には多くのメリットがある一方、初期投資が高額になる点、人材育成に時間がかかる点、業務プロセスの大幅な変更が必要な点などのデメリットも存在します。従来の2次元CADとは操作方法や概念が大きく異なるため、習得には相応の学習期間が必要です。段階的な導入や、小規模プロジェクトでの試験運用を通じて、デメリットを最小化する工夫が重要です。
複数のBIM補助金を併用することは可能ですか?
補助金の併用については、制度ごとに規定が異なります。同一の経費に対して複数の補助金を受けることは原則として認められていません。ただし対象経費が重複しない場合は併用できる可能性があります。
たとえば、ソフトウェア導入費用を建築GX・DX推進事業で申請し、人材育成費用を人材開発支援助成金で申請するといった組み合わせは検討の余地があります。併用の可否については、各制度の窓口に事前確認することが必須です。
まとめ
BIM導入には初期投資や人材育成といった課題がありますが、国や自治体が提供する補助金制度を活用することで、費用負担を大幅に軽減できます。建築GX・DX推進事業では最大5,500万円、IT導入補助金では最大150万円の支援が受けられ、加えて人材育成や税制優遇措置も利用可能です。
補助金申請を成功させるには、導入目的の明確化、適切な制度選定、綿密な計画策定、関係者との連携が重要です。後払い原則や事業実施期間の厳守、実績報告義務といった注意点を理解し、計画的に進めることで、スムーズな導入が実現します。
国土工営コンサルタンツ株式会社は、50年以上の歴史を持つインフラ構造物の設計・点検を手がける企業であり、BIMやCIMの活用においても豊富な実績を有しています。2025年9月には事業統合により、BIM・CIM事業部門を強化し、設計から施工、維持管理までシームレスなサービスを提供する体制を整えました。
BIMの導入から、応用支援、オンライントレーニング等、様々なコンサルティングサービスを提供しています。 BIMの導入をご検討の際には、ぜひ国土工営コンサルタンツまでご相談ください。