
コラム
BIMを外注するメリット・デメリットとは?建設業務の効率化を成功させるポイント

建設業界でBIMの活用が加速する中、社内リソースの限界や専門人材の不足から外注を検討する企業が増えています。外注は業務効率化の有効な手段ですが、適切な判断と外注先選びが成功の鍵を握ります。
本記事ではBIMの外注についてメリットや成功ポイントなどを解説します。
この記事で分かること
- BIM外注を検討すべき具体的な状況と判断基準
- 外注先の種類と依頼できる業務内容の詳細
- 外注のメリット・デメリットと選定時のチェックポイント
- 料金相場と外注を成功させるための実践的なポイント
BIM外注を検討すべき状況とは

BIMの外注を検討する場面は企業によって異なりますが、主に人材・コスト・運用体制の3つの観点から判断できます。
- 専門スキルを持つ人材の確保・育成が困難な場合
- 初期導入コスト(ソフトウェア、ハードウェア)の負担がある場合
- 既存業務と並行したBIM運用が難しい場合
自社の状況を整理し、外注が有効かどうかを見極めることが重要です。
専門スキルを持つ人材の確保・育成が困難な場合
BIMを扱える技術者の採用は建設業界全体で競争が激しく、中小企業では特に人材確保が難しい状況にあります。仮に採用できたとしても、実務レベルで活用できるまでには長期間の研修が必要です。
外注を活用すれば、即戦力として高度なBIMスキルを持つ専門家に業務を委託できます。プロジェクトの規模や期間に応じて柔軟に人材を確保でき、育成期間を待たずに高品質な成果物を得られる点が大きな利点となります。
初期導入コスト(ソフトウェア、ハードウェア)の負担がある場合
BIM導入には、ソフトウェアライセンス費用として年間40~100万円程度、高性能なPCやGPUなどのハードウェアに1台あたり50万円以上の投資が必要です。複数名での運用を想定すると、初期投資だけで数百万円規模のコストが発生します。
外注先は既にBIM環境を整備しているため、発注側は大規模な設備投資をせずにBIMの恩恵を受けられます。プロジェクト単位での費用負担となり、キャッシュフローの観点からも導入ハードルを下げられる選択肢です。
既存業務と並行したBIM運用が難しい場合
従来のCADによる設計業務を継続しながら、BIMを並行して運用する体制を構築するのは現実的に困難です。業務の二重化による負担増加や、既存プロジェクトへの影響を懸念する声も少なくありません。
外注を活用すれば、社内は従来通りの業務フローを維持しながら、BIMが必要なプロジェクトのみを外部に委託できます。段階的にBIMへの移行を進めたい企業や、特定のプロジェクトでのみBIMが求められる場合に適した方法です。
BIM導入・運用の外注はどこに依頼する?

B外注先は、BIM専門会社・建設コンサル/設計事務所・制作代行会社・フリーランスなどがあり、体制や得意領域が異なります。
建設コンサルタント
建設コンサルタントは、設計事務所やBIM専門企業として組織的な体制を持ち、豊富な実績とノウハウを蓄積しています。複数の技術者が在籍しており、工程管理や品質管理が安定している点が特長です。
3Dモデリングから干渉チェック、数量算出、維持管理向けのモデル構築まで、BIM業務の全工程に対応できる体制を整えています。納期や成果物品質に対する保証体制も充実しており、大規模プロジェクトや公共事業など、高い精度と信頼性が求められる案件に適しています。
複数部門との連携が必要な場合や、長期的なパートナーシップを構築したい場合にも有効な選択肢となります。契約形態も柔軟で、プロジェクト単位からBIM導入支援まで幅広く対応可能です。
フリーランス
フリーランスのBIMエンジニアは、特定の専門領域に長けた技術者が多く、柔軟な対応とスピード感が特長です。単価が比較的安価で、短期・単発の業務委託にも対応しやすい点が魅力となります。
ただし、品質や納期のばらつきには注意が必要です。依頼先の実績やポートフォリオを事前に確認し、作業範囲・納期・納品形式などの条件を明確にした契約書を交わすことが重要です。中小規模の案件や、限定的な業務の切り出しに適しています。
BIMの外注で依頼できる具体的な業務内容

BIM外注では、導入段階から実際の運用まで、幅広い業務を委託できます。
- 導入の支援
- 運用
自社の課題や目的に応じて、必要な業務を選択することが効率的な活用につながります。
導入の支援
BIM導入支援では、現状分析から導入計画の策定、ソフトウェア選定、社内体制の構築までをサポートします。自社の業務フローや組織体制に合わせた導入戦略を提案し、スムーズな移行を実現します。
具体的には、BIM導入の目的設定、業務プロセスの見直し、必要なソフトウェア・ハードウェアの選定、初期設定とテンプレート作成、社内研修プログラムの実施などが含まれます。補助金申請のサポートを提供する外注先もあり、初期コストの軽減につながります。
導入後のフォローアップ体制も重要です。定期的な技術支援やトラブル対応、運用改善の提案など、継続的なサポートを受けられる外注先を選ぶことで、確実な定着を図れます。
運用
運用段階では、実際のプロジェクトにおける3Dモデリング作業や、BIMを活用した各種業務を委託できます。設計図面からのBIMモデル作成、既存建物の点群データからのモデル化、設備や構造の詳細モデリングなどが代表的です。
干渉チェックや施工シミュレーション、数量算出、工程管理用のモデル作成など、BIMの特性を活かした業務も依頼可能です。維持管理段階を見据えたモデル作成や、IFCデータへの変換、他社ソフトとの連携作業なども外注できます。
プロジェクトの進行に合わせて柔軟に業務量を調整でき、繁忙期の負担軽減や、特定のスキルが必要な業務のみを委託するといった使い方もできます。成果物の品質基準や納品形式を事前に明確化しておくことが重要です。
BIMの外注のコストと料金相場

BIM外注の料金は、プロジェクトの規模や内容、求める詳細度によって大きく変動します。以下は一般的な料金相場の目安です。
|
業務内容 |
建設コンサルタント |
フリーランス |
|
基本的な3Dモデリング |
20~50万円 |
10~15万円 |
|
詳細モデル(構造・設備含む) |
50~150万円 |
20~50万円 |
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大規模案件(施工段階まで) |
200~500万円以上 |
対応困難な場合が多い |
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導入支援・コンサルティング |
50~200万円 |
案件による |
複数社から見積もりを取得し、作業範囲・成果物の定義・修正対応の条件などを比較検討することが重要です。安価な見積もりでも、追加費用や修正対応の条件によっては総額が高くなる場合があるため注意が必要です。
BIMを外注するメリットとデメリットとは

BIM外注には明確なメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。両面を理解したうえで、自社にとって外注が適切かどうかを判断することが重要です。
メリット
外注のメリットは、専門スキルの即座な活用、コスト効率、リソースの最適配分の3点に集約されます。
- 最新のBIMツールやノウハウを活用できる
- 教育・研修コストをかけずにBIMスキルを即座に導入可能
- プロジェクトごとのリソースの最適化と柔軟な対応
それぞれの具体的な内容を見ていきます。
最新のBIMツールやノウハウを活用できる
外注先は常に最新のBIMツールや技術にアップデートしており、その知見を自社のプロジェクトに取り入れられます。ソフトウェアのバージョンアップへの対応や、新機能の活用、業界のベストプラクティスなど、専門企業ならではの技術力を活かせる点が大きな強みです。
国際標準規格であるIFCデータへの対応や、他社ソフトとの連携、クラウドベースの情報共有など、高度な技術要件にも対応できます。自社で同等のレベルを維持するには継続的な投資と学習が必要ですが、外注ならその負担を回避できます。
教育・研修コストをかけずにBIMスキルを即座に導入可能
社内でBIM人材を育成する場合、ソフトウェアの操作習得に数か月、実務レベルでの活用には1年以上の期間が必要です。研修費用や教育担当者の工数、習熟期間中の生産性低下などを考慮すると、大きなコストが発生します。
外注を活用すれば、プロジェクト開始時点から高度なBIMスキルを持つ専門家に業務を委託でき、即座に成果を得られます。教育期間を待たずに品質の高い成果物を獲得でき、プロジェクトスケジュールの短縮にもつながります。
プロジェクトごとのリソースの最適化と柔軟な対応
自社の人員を重要な設計業務や営業活動に集中させ、BIM業務は外部に委託することで、全体の生産性を向上できます。プロジェクトの規模に応じて外注量を調整でき、繁忙期の一時的な業務補完としても有効です。
固定費としての人件費ではなく、プロジェクト単位の変動費として扱えるため、経営面でのメリットもあります。業務量の変動が大きい企業や、BIMが必要なプロジェクトが不定期な企業にとって、柔軟な対応が可能になります。
デメリット
外注にはメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。
- 社内へのノウハウ蓄積が滞るリスクがある
- 外注先との綿密なコミュニケーションと意思疎通の必要性がある
- 詳細な仕様書作成や情報共有におけるセキュリティ問題がある
事前に理解し、対策を講じることで、デメリットを最小化できます。
社内へのノウハウ蓄積が滞るリスクがある
BIM業務を完全に外注すると、社内にノウハウが蓄積されず、長期的には外注への依存度が高まります。設計の干渉チェックや施工シミュレーションを自社で実施できないため、設計変更や手戻りのリスクが高まる可能性もあります。
継続的な外注費が発生し、コスト削減が難しくなる面もあります。将来的に内製化を目指す場合は、外注先から技術移転を受ける、社内担当者を外注業務に参加させるなど、ノウハウ蓄積の仕組みを設けることが重要です。
外注先との綿密なコミュニケーションと意思疎通の必要性がある
外注先とのやり取りは、社内業務に比べてコミュニケーションにタイムラグが生じやすく、細かい仕様変更や設計意図の伝達に齟齬が起こる可能性があります。プロジェクトの進行や成果物の品質に影響を及ぼす場合もあります。
定期的な進捗確認の場を設ける、詳細な仕様書を作成する、成果物のチェック体制を整えるなど、コミュニケーション体制の構築が不可欠です。特に、設計意図や施工上の制約条件などは、図面だけでは伝わりにくい情報のため、丁寧な説明が必要です。
詳細な仕様書作成や情報共有におけるセキュリティ問題がある
建設プロジェクトには機密性の高い情報が含まれるため、外注先の情報管理体制の確認が必要です。設計図面や構造計算書、コスト情報などが外部に漏洩するリスクを考慮し、NDA(秘密保持契約)の締結や、データ受け渡し方法の明確化が不可欠です。
クラウド環境でのデータ共有を行う場合は、アクセス権限の管理やセキュリティ対策の確認も重要です。外注先のセキュリティポリシーやISO27001などの認証取得状況を確認し、信頼できる体制を持つ企業を選ぶことが重要です。
BIMの外注先を選定する際のチェックポイント

外注先の選定は、BIM活用の成否を左右する重要な判断です。
- 実績・経験が豊富な建設分野に特化した企業を選ぶ
- 希望するソフトウェアに対応可能かで選ぶ
- セキュリティや情報管理体制で選ぶ
以下の3つの観点から、自社のプロジェクトに適した外注先を見極めることが重要です。
実績・経験が豊富な建設分野に特化した企業を選ぶ
建設分野に特化した実績を持つ企業は、業界特有の要件や制約を理解しており、スムーズな業務遂行が期待できます。過去の実績件数だけでなく、自社と同規模のプロジェクトや類似した建物種別での経験があるかを確認することが重要です。
公共事業での実績がある企業は、国土交通省のBIM基準やCIM要領に準拠した成果物の作成に慣れています。民間プロジェクトでも、設計事務所や施工会社との協働経験が豊富な企業を選ぶことで、関係者間の調整がスムーズになります。
希望するソフトウェアに対応可能かで選ぶ
自社や協力会社が使用しているBIMソフトウェアとの互換性は、業務効率に大きく影響します。主要なBIMソフトとしてRevit、Archicad、GLOOBE、Vectorworksなどがありますが、外注先がどのソフトに対応しているかを確認する必要があります。
複数のソフトウェアに対応できる外注先は、プロジェクトごとに異なる要件にも柔軟に対応できる利点があります。将来的なソフトウェアの変更や、複数ソフトの併用を検討している場合は、対応範囲の広い企業を選ぶことが有効です。
セキュリティや情報管理体制で選ぶ
外注先の情報管理体制は、自社の信頼性にも直結する重要な要素です。プライバシーマーク(Pマーク)やISMS(ISO27001)などの第三者認証を取得している企業は、一定レベルのセキュリティ体制を整えている指標となります。
データの保管方法、アクセス権限の管理、バックアップ体制、退職者の情報管理など、具体的な運用ルールを確認することが重要です。クラウドサービスを利用する場合は、データの保管場所やサーバーの所在地も確認すべき項目です。
NDA締結時には、契約期間や違反時の対応、第三者への開示禁止などの条項を明確にし、万が一の情報漏洩に備えた体制を整えることが不可欠です。
BIM外注でよくある疑問・質問(FAQ)

BIM外注を検討する際によく寄せられる質問について、実務的な視点から回答します。
- Q1:BIMの導入・普及が進まないと言われる主な理由は何ですか?
- Q2:BIMの導入に補助金は使える?(建築BIM加速化事業など)
- Q3:BIMモデルのファイル形式「IFCデータ」とは一体なに?
導入判断の参考にしてください。
Q1:BIMの導入・普及が進まないと言われる主な理由は何ですか?
日本国内でのBIM普及率は約58%ですが、欧米諸国と比較すると遅れている状況にあります。主な理由として、初期導入コストの高さ、専門人材の不足、既存のCADベースの業務フローからの移行負担が挙げられます。
特に中小企業では、ソフトウェアライセンス費用や高性能PCの購入、人材育成にかかるコストが大きな障壁となっています。また、既存建築への適用が難しく、新築プロジェクトでのみBIMを活用する企業が多い実情もあります。
外注を活用することで、これらの障壁を下げられる可能性があります。初期投資を抑えながらBIMの効果を実感し、段階的に内製化を進めるアプローチも有効です。
Q2:BIMの導入に補助金は使える?(建築BIM加速化事業など)
主に「建築GX・DX推進事業(建築BIM加速化事業)」やIT導入補助金が活用でき、BIMソフト利用費や人件費、研修費、CDE(共通データ環境)利用費などが補助対象となります。
建築BIM加速化事業では、BIMを活用した設計業務や、維持管理段階までのデータ活用を支援する取り組みに対して補助が行われます。申請には一定の要件を満たす必要があり、スケジュールも限られているため、早めの情報収集が重要です。
外注先によっては、補助金申請のサポートを提供している企業もあります。補助金を活用することで、導入コストを大幅に削減できる場合があるため、積極的に検討する価値があります。
Q3:BIMモデルのファイル形式「IFCデータ」とは一体なに?
IFCデータは、異なるBIMソフト間でデータ交換・共有を可能にする国際標準のオープン形式です。建築の3D形状だけでなく、壁や柱などの属性情報も記録できる点が特長となります。
特定のソフトウェアに依存しないため、設計・施工・維持管理の各段階で異なるソフトを使用する場合でも、情報を引き継げます。OpenBIMの推進により、IFCデータの活用は今後さらに重要性を増すと考えられます。
外注先を選ぶ際は、IFCデータでの納品に対応しているか、属性情報を適切に設定できるかを確認することが重要です。将来的な互換性を考慮すると、IFC対応は必須要件といえます。
まとめ:BIMの外注は課題を解決し、建設DXを推進する「国土工営コンサルタンツ」
BIM外注は、専門人材の不足や初期コストの負担、既存業務との並行運用といった課題を解決する有効な手段です。外注先選びでは、実績・ソフト対応・セキュリティ体制の確認が重要であり、自社の目的に合ったパートナーを選定することが成功の鍵です。
国土工営コンサルタンツは、50年以上の構造設計の実績を持ち、BIM/CIM業務を専門的に支援する体制を整えています。コンサルタント事業部内にBIM/CIMチームを配置し、構造物調査チーム・構造物設計チームと連携しながら、プロジェクト全体を総合的にサポートします。
BIM事業部では、各種プラント設備のBIM設計を3Dで計画し、3Dから2D図面を作成する本来のBIM設計を実践しています。現状の図面がない建築や設備に対しても、3次元点群測量から図面の復元化まで対応可能です。プラントのBIM設計におけるコンサルティングも提供しており、導入から運用まで一貫したサポート体制を構築しています。
BIM外注の検討や、建設DXの推進にお悩みの場合は、豊富な実績と専門的な技術力を持つ国土工営コンサルタンツにご相談ください。業務のスタートから納品まで、寄り添う形でサポートいたします。