
コラム
若者の地方移住が増加する理由とは?都会を離れて見つける新しい暮らしの形

近年、日本では若者を中心に「地方移住」への関心が高まっています。かつては、進学や就職を機に東京や大阪などの大都市へ移り住むことが一般的でした。
しかし近年では、都市部で働きながら地方で暮らす人や地元へ戻る「Uターン」、縁のない地域へ移住する「Iターン」を選択する人も増えています。
背景には、テレワークの普及や働き方の多様化だけでなく、「収入やキャリアだけでなく、自分らしい暮らしを重視したい」という価値観の変化が関係しています。
人口減少や少子高齢化が進む地方では、自治体が移住支援制度を充実させており、地方移住は以前よりも身近な選択肢となっているのです。
本記事では、若者が地方移住を選ぶ理由や地方暮らしの魅力、移住に伴う課題、そして移住を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
地方移住への関心が高まる背景

地方移住への関心が高まっている背景には、いくつかの社会的な変化が絡み合っています。長年続いてきた東京一極集中への疑問、テレワーク普及によって生まれた「場所を選ばない働き方」、そして若い世代を中心に進む価値観の転換です。
以下では、関心の高まりを生み出している3つの要因を、調査データも交えながら解説します。
東京一極集中への疑問
日本では長年にわたり、東京への人口集中が続いてきました。大学や大企業の本社が集中し、多くの若者が進学や就職のために地方から都市部へ移動しています。
しかし、都市部での生活には多くの負担もあります。高額な家賃、満員電車による通勤、長時間労働、人間関係のストレスなどに悩む人は少なくありません。
特に近年は、「収入が高くても生活に余裕がない」「忙しすぎて家族や趣味の時間が取れない」と感じる若者が増えています。
こうした状況の中で、「もっと自分らしい暮らし方があるのではないか」と考え、地方での生活に魅力を感じる人が増えているのです。
テレワークの普及による働き方の変化
地方移住への関心が高まった大きな要因の一つが、テレワークの普及です。
以前は会社の近くに住む必要がありましたが、現在ではオンライン会議やクラウドサービスの普及によって、自宅から仕事ができる職種が増えました。
その結果、
- 東京の企業で働きながら地方で暮らす
- 地方に移住してフルリモート勤務を続ける
- 地方で副業や起業に挑戦する
といった新しい働き方が可能になっています。
住む場所に縛られない働き方は、地方移住を現実的な選択肢へと変化させました。
データで見る地方移住への関心の高まり
地方移住は一時的なブームではなく、実際の調査結果からも関心の高まりが確認されています。
NTTデータ経営研究所が実施した調査によると、都市圏に居住する人の約3割が地方移住に関心を持っており、そのうち半数近くが実際に移住に向けた検討や準備を行っていることがわかっています。
また、地方移住に関心がある人の4割以上は、テレワークを活用して現在の勤務先で働き続けることを希望しているという結果も出ています。
さらに、内閣府の調査では、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、東京23区に住む20代の3割以上が「地方移住への関心が高まった」と回答しています。
若い世代ほど地方での暮らしや働き方に興味を持つ傾向が見られ、価値観の変化が進んでいることがうかがえます。
また、Job総研が実施した調査では、全国の社会人の約6割が地方移住に興味を持っていると回答しており、その理由として「住宅費や生活費の安さ」「自然豊かな環境」「テレワークの普及」などが挙げられています。
こうしたデータからも、地方移住は一部の人だけの選択肢ではなく、多くの人が将来的なライフスタイルとして検討していることがわかります。
▼参考記事
地方移住とワーケーションに関する意識調査 | リサーチ | NTTデータ経営研究所
2023年 地方移住の意識調査を実施しました – Job総研プラス
若者が地方移住を選ぶ理由

若者が地方移住を選ぶ理由は、「自然が好き」「田舎に憧れる」といった感覚的なものだけではありません。
生活コストの削減やワークライフバランスの実現、充実した自治体の移住支援制度など、現実的なメリットが数多くあります。
以下では、若者が地方移住に魅力を感じる6つの理由を具体的に解説します。
1.生活コストを抑えられる
地方移住の最大の魅力は生活費を抑えられることです。
東京23区ではワンルームでも月額8万円以上の家賃が必要になることがありますが、地方都市では同じ金額で広いマンションや一戸建てを借りられる場合もあります。
住宅購入においても大きな差があります。都市部では数千万円以上の住宅ローンが必要になるケースが多い一方、地方では比較的手頃な価格で住宅を購入できる地域もあります。
さらに、
- 駐車場代
- 保育料
- 外食費
- レジャー費
なども比較的安く、家計への負担を軽減できます。
近年は、住宅価格や物価の上昇が続いているため、生活コストを見直したいと考える若者にとって地方移住は魅力的な選択肢となっているのです。
2.仕事の競争率が比較的低い
「地方には仕事がない」と言われることがありますが、実際には多くの地域で人材不足が深刻な課題となっています。
特に、
- 建設業
- 製造業
- 介護・福祉業界
- 運送業
- 観光業
- IT関連企業
では若い人材の確保が難しくなっています。
都市部では、一つの求人に多数の応募者が集まることがありますが、地方では企業側が積極的に採用活動を行っているケースも少なくありません。また、地方企業では若手社員に早い段階から責任ある仕事を任せる傾向があり、成長の機会を得やすいという特徴もあります。
特に建設業や製造業では技術継承が課題となっており、若い世代への期待が高まっています。建設業の中でも、特に土木は地方でもインフラを守る必要があり、建築と比べて工事が多い傾向なので、土木技術者は地方移住を叶えやすいでしょう。
国土工営コンサルタンツでは「地方の土木を守る」ために人手が不足しやすい土木技術者を地方や離島にも積極的に派遣や紹介を行っています。
3.ワークライフバランスを実現しやすい
都市部で働く人の多くは通勤や残業による時間的な制約を抱えています。朝早く起きて満員電車で通勤し、帰宅は夜遅くなるという生活は珍しくありません。
一方、地方では通勤時間が短く、自動車や自転車で15~30分程度で職場へ到着できるケースもあります。
通勤時間が短くなることで、
- 家族との時間
- 趣味の時間
- 資格取得や勉強
- 健康維持のための運動
などに時間を使えるようになります。
近年は「高収入よりも生活の充実を重視したい」という若者も増えており、地方での暮らしはその価値観と相性が良いと言えます。
4.自然豊かな環境で暮らせる
地方には山や海、森林など豊かな自然が残されています。自然に囲まれた環境で生活することは、心身の健康にも良い影響を与えると言われています。
休日にキャンプや登山、釣りなどを楽しんだり、家庭菜園に挑戦したりする人も少なくありません。
また、子育て世帯にとっても自然環境は大きな魅力です。広い公園や自然の中でのびのびと遊べる環境は、子どもの成長にも良い影響を与えると考えられています。
近年では「教育移住」という言葉も広がっており、教育環境や自然環境を重視して地方へ移住する家庭も増えています。
5.自治体による移住支援制度
人口減少に悩む地方自治体では、移住者を呼び込むためのさまざまな支援制度を実施しています。
主な支援内容には、
- 移住支援金
- 住宅取得補助金
- 空き家改修補助
- 起業支援
- 就職相談
- 子育て支援
- お試し移住制度
などがあります。
自治体によっては住宅購入費やリフォーム費用の一部を補助する制度もあり、移住時の初期費用を抑えることが可能です。また、子育て世帯向けの支援を充実させている自治体も多く、保育料補助や医療費助成などが用意されています。
実際に拡充される移住支援制度
国や自治体は、東京圏への人口集中を緩和するため、地方移住者向けの支援制度を拡充しています。
例えば、東京23区に在住または通勤している世帯が対象地域へ移住する場合、「地方創生移住支援事業」による支援金を受けられるケースがあります。
2023年度以降は子ども1人当たり最大100万円の加算制度も導入され、子育て世帯にとって大きな後押しとなっているのです。対象自治体は全国で1,000以上に及び、地域ごとに独自の住宅補助や就業支援も実施されています。
6.地域とのつながりを感じられる
都市部では、近所付き合いがほとんどない場合もありますが、地方では地域コミュニティとのつながりを感じやすい環境があります。
地域のお祭りやイベント、防災活動などを通じて住民同士が交流する機会も多く、人とのつながりを大切にしたい人にとっては魅力的な環境です。
特に子育て世帯からは、「地域全体で子どもを見守ってくれる安心感がある」という声も聞かれます。
また、外国人住民の受け入れに積極的な自治体も増えており、多文化共生を進める地域も増加しています。
地方移住の課題

地方移住には多くのメリットがありますが、課題も存在します。
1.給与水準が低い場合がある
地方では生活費が安い一方で、給与水準も都市部より低い傾向があります。
転職によって年収が下がるケースもあるため、生活費とのバランスを考慮した資金計画が必要です。
2.希望する仕事が少ない
地方では求人の選択肢が限られる地域もあります。
特に金融、広告、コンサルティング、外資系企業などは都市部に集中しているため、自分の希望する職種が見つからない場合があります。
3.車が必要になる
公共交通機関が少ない地域では、自動車が生活必需品になります。
購入費だけでなく、
- 保険料
- ガソリン代
- 車検費用
- 自動車税
なども考慮する必要があります。
4.地域コミュニティへの適応
地方では地域とのつながりが強い反面、人によっては負担に感じる場合もあります。
自治会活動や地域行事への参加が求められる地域もあり、慣れるまで時間がかかることがあります。
5.医療・教育環境の違い
地方では病院や大型商業施設、習い事などの選択肢が少ない地域もあります。
特に子育て世帯は教育環境や医療体制について事前に確認しておくことが重要です。
地方移住を成功させるポイント
地方移住を成功させるためには事前準備が欠かせません。
まずは、実際に現地を訪れ、生活環境や交通事情、買い物環境などを確認することが大切です。
また、仕事を確保してから移住することで、収入面の不安を軽減できます。
さらに、自治体が実施している移住相談会やお試し移住制度を活用すれば、移住後の生活を具体的にイメージしやすくなります。
地域行事への参加や近隣住民との交流も、新しい環境に馴染むための重要なポイントです。
また、転職先、移住先を決める前に、地方での暮らしや働き方をよく理解しているキャリアコンサルタントやアドバイザーに相談することも大切です。
まとめ
地方移住への関心が高まっている背景には、生活コストの削減、働き方の多様化、自然豊かな環境、自治体の支援制度などがあります。
一方で、収入や仕事の選択肢、交通手段、地域コミュニティへの適応などの課題も存在します。
地方移住は単なる引っ越しではなく、自分自身の働き方や生き方を見つめ直す機会でもあります。
重要なのは、メリットだけでなくデメリットも理解した上で、自分や家族に合った地域を選ぶことです。
これからの時代、「どこで働くか」だけでなく、「どこで暮らすか」が人生を考える上でますます重要なテーマになっていくでしょう。
国土工営コンサルタンツでは、実際に地方で暮らしながら移住者を支援してきたアドバイザーが、希望の暮らし方、働き方をヒアリングし、転職&移住先を一緒に探していくことができますので、地方への移住や転職をお考えの際はお気軽にご相談下さい。